ランナーズ・ジャーナル JAPAN (Runners-Journal.Jp)

事実に基づいた「真実のコラム」を掲載しています。今だからこそ伝えたい「本当のこと」をありのまま伝えたいと思います。

カテゴリ: 陸上界の歴史

2021年に期待したい種目のひとつに女子1500mがある。

圧倒的に世界から置いて行かれている状況を改善するには何が必要か?

それは、今のジュニア世代の選手達に時代の背景を理解して貰うことだろう。

これだけの差があることを小中学生が認識しないままでは世界には追いつけない。

日本国内の大会で「勝った負けた」を気にしているだけでは更に差が広がるだけだ。

世界の進化のスピードを現在の小中学生が知って自分達がすべきことを認識して欲しい。

「自分達が世界に追いつくんだ!」という自覚が芽生えることで大きな一歩を踏み出せる。

これは、1995年世界選手権女子1500mのレース動画。

(World Championships 1995 Women's 1500m by PeterMacca88)

1995年当時の世界記録は、3分50秒46。(曲雲霞・中国、1993年)
大会記録は3分58秒56であった。

あれから24年後の2019年ドーハ世界陸上女子1500m決勝の映像がこちら。

(Women's 1500m Final | World Athletics Championships Doha 2019 by World Athletics)

この時の世界記録は、3分50秒07。(ゲンゼベ・ディババ・エチオピア、2015年)
それぞれの大会上位3名の記録と通過記録を比較してみる。

  <1995年世界陸上女子1500m決勝>
1位 4:02.38 H.BOULMERKA (ALG)
2位 4:03.04 K.HOLMES (GBR)
3位 4:03.79 C.SACRAMENTO (POL)

  <通過記録>
  400m 1:07.38 (67.38)
  800m 2:12.73 (65:35)
1100m 3:01.32
1200m 3:17.68 (64.95)
1500m 4:02.43     (Final Lap 61.11)


  <2019年世界陸上女子1500m決勝> 
1位 3分51秒95 HASSAN (NLD)
2位 3分54秒22 KIPYEGON (KEN)
3位 3分54秒38 TSEGAY (ETH)

  <通過記録>
  400m 1:03.51 (63.51)
  800m 2:05.92 (62:42)
1100m 2:52.59
1200m 3:07.36 (61.44)
1500m 3:51.95     (Final Lap 59.84)



24年の月日が経過して世界のトップレベルは、約10秒の進化をしていることが分かる。

同じ月日が流れた日本では、日本記録が4分11秒から4分05秒へと約6秒更新した。

進化は遂げている。しかし、世界のトップレベルと競うには、まだまだ程遠い。

当たり前のように4分を切れる選手が育たないと世界との差は縮まらない。

一定レベルまでならトレーニング次第で差を埋めることは出来るだろう。

だが、世界の舞台でガチ勝負する為には、何よりも意識改革が必要。

「3分台のレースは、もう何度も経験してるから!」

「ラスト400mからの勝負でも負けないから!」

「あの舞台でマジで勝っちゃうから!」

そんな感覚を持ったジュニア選手が出て来てこそ勝負が出来る。

身体的な進化は、成長過程に従い自然な流れでしていくもの。

身体的な進化を急かしても「伸びしろ」がなくなるだけだ。

だが、限界を作らない精神的な進化は今から出来るはず。

世界のレベルを身近に感じられる肌感覚は鍛えられる。

国際大会で上位争いする自分の姿をイメージする力。

それが世界レベルに近づく最善の方法だと言える。

視野を広げてこそ器の大きなアスリートに育つ。

考える力。イメージする力。表現する力。

それらを養う取り組みに期待したい。

この時代の陸上競技は、まだ世界と戦う意識が薄かったかもしれない。

いや、世界を目指す意識は高かった。

男子マラソンは、世界と戦う時代に入っていた。

日本男子マラソン界の黄金期と言っても良い時代であった。

しかし、トラック種目については、世界と戦うレベルとは言えなかった。

終始スローペースで走り、勝つことだけを目標にしていた。

32年前の日本選手権は、28分42秒が優勝タイムであった。


(1988年 陸上日本選手権 男子10000m決勝 by TAKE1500)

1位 28分42秒43 浦田春生 (Honda)
2位 28分42秒61 遠藤 司 (SB食品)
3位 28分42秒64 米重修一 (旭化成)

あれから32年が経過した現在、記録は大きく進化している。

<高校歴代TOP10>
  1.28:07.39 佐藤悠基 (佐久長聖)2004年11月27日
  2.28:10.32 佐藤秀和 (仙台育英)2004年11月27日
  3.28:23.18 村山謙太 (明成)  2010年12月  4日
  4.28:27.39 上野裕一郎(佐久長聖)2003年11月29日
  5.28:35.65 吉居大和 (仙台育英)2020年  3月  8日
  6.28:35.8   渡辺康幸 (市立船橋)1991年11月21日
  7.28:39.04 西池和人 (須磨学園)2009年10月  2日
  8.28:43.9   古田哲弘 (浜松商業)1995年11月26日
  9.28:45.75 林田洋翔 (瓊浦)  2018年10月12日
10.28:48.08 中山卓也 (須磨学園)2007年10月20日

<学生歴代TOP10>※日本人学生
  1.27:38.31 大迫 傑 (早稲田大)2013年  4月29日
  2.27:44.30 鎧坂哲哉 (明治大) 2011年  7月29日
  3.27:45.59 竹澤健介 (早稲田大)2007年  4月29日
  4.27:47.87 塩尻和也 (順天堂大)2017年11月25日
  5.27:48.55 渡辺康幸 (早稲田大)1995年  8月  5日
  6.27:49.94 村山謙太 (駒澤大) 2014年  4月20日
  7.27:50.59 村澤明伸 (東海大) 2012年  4月29日
  8.27:51.54 設楽啓太 (東洋大) 2013年  5月11日
  9.27:51.61 瀬古利彦 (早稲田大)1978年  7  月3日
10.27:51.65 佐藤悠基 (東海大) 2007年10月14日

高校歴代記録で最も古いのは、1991年、渡辺康幸の記録。

学生歴代記録で最も古いのは、1978年、瀬古利彦の記録。

奇しくも二人は早稲田大学OBで師弟関係になる。

時代の移り変わりと共に記録は進化していく。

今から30年後は、どんな記録が歴代記録に並ぶのだろうか。

大学生が、26分台で走る時代になっているかもしれない。

高校生が、27分台で走る時代になっているかもしれない。

現在、活躍している選手の子供が活躍しているかもしれない。

かつて活躍していた選手の孫が活躍しているかもしれない。

何よりも世界との差が縮まるレベルになっているかもしれない。

30年後の日本陸上長距離界の姿を考えると期待と不安が募る。

世界歴代TOP10 に入るような怪物ランナーの出現に期待をしたい。

世界の進化のスピードに日本陸上界が乗り遅れていなければ…

現在の日本記録は、3分33秒〜34秒まで更新されていただろう。

何が日本の中距離選手の成長の妨げになってきたのだろうか。

箱根駅伝への比重が大きくなってきたからだろうか?

中学駅伝・高校駅伝が盛んになり、早熟な選手が多くなったからだろうか?

ジュニア期に活躍すると「スーパーキッズ!」ともてはやす風潮だろうか?

金を稼げるのがマラソンしかないという現状だろうか?

43年が経っているのに、余りにも進化の速度が遅くないだろうか?


(1977年 ワールドカップ 石井隆士選手 1500m 日本新 by TAKE1500m)

2019年は、男子1500mが大きな注目を集める年となった。

春のシーズンから、日本記録更新が大いに期待をされた。

久しぶりに男子1500mにスポットライトが当たった年となった。

いよいよ、2020年東京五輪イヤーが始まる。

春季サーキットや海外遠征は、もう数か月先に見えている。

五輪ムードに後押しをされながら世界に追いつくチャンスが巡ってくる。

今年、日本記録が塗り替えられたら、歴史に残る年になる。

日本記録が、3分35秒まで短縮できる可能性は十分にある。

中距離選手にとって、2020年東京五輪イヤーが大きな飛躍の年になって欲しい。

43年前の石井隆士選手のような世界で戦える勢いを持った選手の出現に期待をしたい。

中距離選手の育て方(1500mで日本記録をつくる方法)

男子1500m決勝・解説(2019日本選手権)

日本記録をつくる方法(女子1500m)

日本記録をつくる方法(女子1500m 4分05秒25)



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