力が落ちているのを誰からも指摘してもらえない。

「もう退き際だよ」と誰からも気付かせてもらえない。

最後の一滴まで搾り取りたい者たちの思惑に乗せられているだけ。

「キング」「女王」「絶対王者」「レジェンド」と言われ、もてはやされる。

そういう言葉によってピークを過ぎている選手を勘違いさせたままにしてしまう。

「もう限界かも…」と内心では気付いているのに言い出せない環境を周囲が作っている。

「夢の大舞台で見事に金メダルを獲得!有終の美を飾る!」

メディアが作った理想の”夢物語”によってスーパースターが潰されていく。

「取り返しのつかないことをしてしまった…」

普通の国際大会ではない。五輪という特別な舞台。しかも自国開催五輪での惨敗。

呆然自失状態になり、目線が定まらずにガッカリと肩を落とす姿など見ていられない。

選手が悪いのではない。周囲にいる関係者が「裸の王様」にしている現実への問題提起。

「もう自分の時代ではないのかな…って思った」

そういう言葉が出るのは周囲に居る関係者の接し方に問題がある証拠である。

「もう、とっくに君の時代は終わっている。現実を受け入れろ」

そう言って退き際を見極めさせるのもチームスタッフや関係者の仕事である。

夢の大舞台でスーパースターが落ちぶれた姿を世界にさらす状況は作ってはいけない。

アスリートの活躍を食い物にしている現在のスポーツ界の現状を変えなければいけない。

これ以上、私達に夢と希望と感動を与えてくれた選手から何かを得ようとしてはいけない。

世界に誇る我々のヒーロー&ヒロインを「落ちぶれた”かつて”の王者」にしてはいけない。

日本の未来を背負って立つ子供の心に「あの選手は凄かった!カッコイイ!」と刻ませる。

そういうスポーツ文化の継承が日本スポーツ界の未来をより一層輝かせるだろう。

子供達のスーパースターは永遠にスーパースターのままであって欲しい。

子供が夢を描き、憧れの選手に近づく為の努力を続けられる環境作り。

それが五輪が果たす役割のひとつであると申し上げておきたい。