第二弾は、選手が抱く「限界」について紹介したい。

②限界を無くす
かつて実業団チームのコーチをしていた方から聞いた話である。人の「限界」の捉え方は、極めてシンプルである。今の自分が出来ることと出来ないことで「限界」の境界線が分かれている。それは、他者の価値基準で判断されてしまうことが多い。しかも身近な人の価値で「限界」が決まってしまう。ある小学生の女の子が「100mを12秒5で走りたい!」と笑顔で語ったら、所属チームのコーチ達から「バカだなぁ!無理に決まってるだろ!」と一蹴されてしまった。ある中学生の男の子が「僕は、足の速さを活かして、将来、ラグビー選手として明治大学に入りたい!」と担任に伝えたら「お前は、背が小さいし、学力も低いから明治大学でラグビーなんて無理だよ」と夢を諦めるように言われた。殆どの場合、人の「限界」は、他者によって決められてしまう。どうすれば出来るようになるか。どうすれば目指したいレベルまで能力を高められるか。どうすれば夢は叶うのか。それを一緒に考えてくれる人が身近にいれば良いが、大抵の場合、自分の「限界」は、他者から植え付けられてしまう。それは、担任かもしれないし、部活顧問かもしれない。一番の理解者であるはずの家族が「おまえには、無理だ」と決めつけてしまうこともある。そうして、夢を諦めてしまう。今、成功している人の中には、逆にプラスの影響を受けた人もいるだろう。「おまえには、これが向いているんじゃないかな」と気付かせてくれたり、「こっちの道に進んだ方がいいからチャレンジしてみたらどうか」とアドバイスされたのがきっかけとなって新たな可能性を発見することもある。別の見方で「限界」の定義を考えると天才型と努力型という考え方もある。何でも器用にこなし難易度の高いことを一発で出来る人と何度も何度も失敗を繰り返しながら出来るようになる人もいる。自ら「限界」を作らずに何度もチャレンジして成功を掴んだり、不可能を可能にしてみせたりした人は、強い人間になれる。くじけずにやり遂げる心を養えば本当の強者になれる。何でも器用にこなせるがあまり努力する経験をせずに育ってしまうと将来大きな壁に突き当たった時、弱さを露呈してしまうこともある。初めて自分の「限界」を知った時、嘘のように弱くなってしまう。大一番の舞台で弱者になってしまう。自分の「限界」は、他者が決めるものではない。成功や失敗を繰り返しながら自らが見定めていくものである。100人中99人が無理だと言って自分の可能性を認めてくれなくてもいい。1人でも「きみならできる」と言ってくれる人が居れば、「限界」は無くなる。

〜「③常識を打ち破る」へ続く〜