沿道では、沢山の人が応援していた。

ゴール地点の伊勢神宮には、何重もの人垣が出来ていた。

そして、テレビ中継する実況の声の後ろでは、こんな声が…

「超、人が出てるじゃん」

「凄い人混みになっているよ」

「これは、ちょっと…」

中継しているテレビ局関係者なのか…大会運営関係者なのか…

レース中に「今年は、沿道での声援はありません」と伝える言葉も虚しかった。

誰が見ても、あれは、人垣だし、沿道には沢山の人が出て選手に声援を送っていた。

そもそも論になるが、日本人に沿道での応援を控えさせることなど出来るはずがない。

駅伝文化が根強く染みついている日本人、特に中高年の方々は、駅伝が大好き。

必死に走る選手が、自分の目の前を通過するのを黙って見ていられる日本人などいない。

「マスクをすれば、ほんの数分間だけ沿道に出るくらいならいいだろう」

そう思うのは必然であり、日本人なら誰でも衝動に駆られるのも当然でる。

それが結果的に通常の駅伝と何ら変わらない光景を演出してしまった。

中継映像を観ていて多くの駅伝ファンが感じただろう。

「これのどこが新様式?」

「これじゃあ、いつもの駅伝じゃん」

「ゴール付近の人の多さを見て大丈夫かなって思った」

やっぱり駅伝は、盛り上がった方が面白い。

沿道に誰も人が居ない駅伝なんて駅伝じゃない。

沿道に多くの人が出て、選手達に心からの声援を送って欲しい。

それが選手にとって大きな力になるし、テレビで観ている側も気持ちが良い。

だからこそ、「現実」から目を背けてはいけない。

無観客や応援自粛なんて「理想」を語って安全対策を市民に委ねるのは無責任。

多くの人が沿道に出て声援を送ることを前提として「現実」を見つめることが大事。

箱根駅伝は、例年通りに多くの人が沿道に出て声援を送る光景が大前提と考えるべき。

それを理想論で誤魔化してしまうと本当に大きなクラスターが起きかねない。

絶対安全な方法などない。どんな方法を使っても感染リスクは避けられない。

しかし、多くの人が集まってもリスクを最小限に抑えられる運営方法はある。

箱根駅伝までは、まだ時間的な余裕がある。準備をする時間もある。

箱根駅伝を通常通り開催することを前提にした安全対策がなされることに期待したい。