誰よりも速く走れる能力があるというのは素晴らしいとことだ。

子供が一生懸命に走っている姿を観ると応援もしたくなる。

9歳で2分25秒と聞けば、誰でも驚く。

「世界には、速い子供がいるなぁ」

そのように感じて成長を見守りたいと素直に思える。

どちらかと言えば親心で観てしまうことが多い。

(9-Year-Old Smashes 800m At New Vegas Track Meet by Flo Track)

しかし、この走りを観ただけで「凄い選手が現れた!」とは思えない。

「この子の将来が、めちゃくちゃ楽しみだ!」

「きっと、将来、凄い選手になるだろう!」

「世界記録を塗り替えるような選手になる!」

残念ながら、そうは思えないというのが本音だ。

数年後には、2着と3着でゴールした子供の方が速くなっている可能性がある。

将来の可能性を考えるなら、3分以上掛かった子供が中学・高校では逆転する。

陸上界には、そういう傾向が多分に見られる。世界的に同じ現状がある。

当たり前のことを当たり前に考えると、その理由が分かる。

成長するに従い体型は変化する。

体型が変われば走る感覚も変化する。

感覚が変われば思うように体を動かせなくなる。

思うように体が動いてくれないから記録が出なくなる。

以前は簡単に出せた記録が出なくなるから自信を失くす。

思春期になり、成長と共に自我に目覚めて走る意味を考え始める。

何も考えずにガムシャラに走ってきた子供は、そこで壁にぶつかる。

もしも、世界的に活躍する選手を目指すなら、将来へのビジョンが必要。

明確なビジョンと考える力を持っていないと伸び悩み、やがて走るのを諦める。

9歳で2分25秒を出せるのは素晴らしい。

11歳で2分15秒、13歳で2分05秒、15歳で1分55秒。

更に、17歳で1分50秒、19歳で1分45秒を達成する。

その為の環境整備、トレーニング計画、生活習慣、体と脳の発達。

それらの要素を考慮した段階的な取り組みをするアイデア。

最終的な到達点を見据えた成長曲線が描けているだろうか?

それが、本人と家族、コーチングスタッフにあれば問題ない。

しかし、多くの場合、誰も将来のことなど真剣に考えていない。

何も考えずに走らせている。何も考えずに毎日を過ごさせている。

本人は勿論、家族やコーチの誰も未来の姿をイメージ出来ていない。

速く走れる子供をお持ちの家族に考えて欲しいこと。それは…

今、子供に与えられた能力は永遠の授かりものではないということ。

やがて負ける日が来る。やがて一番にゴール出来なくなる日が来る。

今の能力を持ち続ける努力を重ねていかないと今の才能は消えてしまう。

それに気付いた家族は、きっと、環境選びや指導者選びを真剣に考えるだろう。

自分に都合よく良い環境に恵まれたりはしない。

自分に都合よく良い指導者に出会ったりはしない。

自ら考えて行動することが能力維持には欠かせない要素となる。

チームや学校の垣根を越えて自由に指導者を選べる雰囲気と体制作り。

それが可能になれば、才能に溢れた子供が自然消滅していく可能性は低くなる。

それは、高校生や大学生でも同じことだ。

大迫傑選手が考えるチームは、能力があるのに消えていく選手を救うだろう。

才能があるのに開花できずにいる学生ランナーが、目覚めるきっかけになる。

限界を感じている学生ランナーに新たな可能性を開花させるきっかけになる。

そんなチームになってくれることを期待して応援したい。