日本の高校生にも1500mを4分10秒台で走る選手は数多くいる。

例えば、高校女子1500mの日本歴代十傑は下記となる。

  1.4分07秒86 小林祐梨子(須磨学園) 2006年9月24日
  2.4分14秒69 市川良子 (足洗学園) 1993年9月18日
  3.4分15秒43 田中希実 (西脇工業) 2016年6月25日
  4.4分15秒82 高橋ひな (西脇工業) 2016年7月30日
  5.4分15秒98 由水沙季 (筑紫女学園)2012年7月30日
  6.4分16秒20 倉岡奈々 (鹿児島女子)2013年7月31日
  7.4分16秒30 木村友香 (筑紫女学園)2011年5月27日
  8.4分16秒61 武田志帆 (常盤)   2012年7月30日
  9.4分16秒69 後藤 夢 (西脇工業) 2016年7月30日
10.4分16秒70 田邉美咲 (田村)   2013年7月31日

こちらは、2018年高校ランキング(日本人選手トップ20)

  1.4分17秒21 廣中璃梨佳(長崎商業3)
  2.4分18秒20 小笠原朱里(山梨学院3)
  3.4分18秒26 金光由樹 (岡山操山3)
  4.4分18秒91 萩谷 楓 (長野東3)
  5.4分19秒75 吉村玲美 (白鵬女子3)

  6.4分20秒49 平田歩弓 (神村学園3)
  7.4分20秒95 藤中佑美 (光ヶ丘女子3)
  8.4分21秒03 高松いずみ(長野東2)  
  9.4分21秒14 大西ひかり(須磨学園3)
10.4分21秒29 平岡美帆 (舟入3)  
11.4分21秒88 樫原沙紀 (呉三津田2) 
12.4分22秒12 菅田雅香 (東海大福岡3) 
13.4分23秒14 根室真優 (薫英女学院1) 
14.4分23秒38 樽本つかさ(須磨学園2) 
15.4分23秒39 三原 梓 (立命館宇治1) 
16.4分23秒37 山本有真 (光ヶ丘女子3) 
17.4分23秒96 長澤日桜里(山形城北2) 
18.4分24秒00 土井葉月 (須磨学園1) 
19.4分24秒19 信櫻 空 (川崎橘2) 
20.4分24秒21 飛田凜香 (比叡山3) 

因みに、こちらは、2019年高校ランキング(日本人TOP10)

  1.4分20秒23 柳樂あずみ(筑紫女学園1)
  2.4分20秒79 山中菜摘 (仙台育英1) 
  3.4分21秒03 高松いずみ(長野東3)
  4.4分21秒88 樫原沙紀 (呉三津田2) 
  5.4分22秒62 三原 梓 (立命館宇治2)前年の記録更新(15位 4:23.39)
  6.4分22秒85 米澤奈々香(仙台育英1)
  7.4分22秒92 小代崎陽向子(国分中央2)前年の記録更新(64位  4:27.27)
  8.4分23秒13 山﨑りさ (成田2)   前年の記録更新(113位 4:30.53)
  9.4分23秒14 根室真優 (薫英女学院2)
10.4分23秒36 樽本つかさ(須磨学園3) 前年の記録更新(14位  4:23.38)

では、アメリカの高校生は、どんな記録で走るのだろうか。

1マイル(1600m)の高校記録が出たレース動画が、こちら。

(Katelyn Tuohy breaks national HS mile record! by Rich Gonzalez)

  200m    34秒
  400m 1分08秒 (34秒) (1分07秒44)
  600m 1分42秒 (34秒)
  800m 2分16秒 (34秒) (2分16秒32)
1000m 2分51秒 (35秒)
1200m 3分25秒 (34秒) (3分25秒60)
1400m 3分59秒 (34秒)
1600m 4分33秒 (34秒) (4分33秒87)

1500mを4分15~16秒で通過して100m先のゴールへ駆け込んでいる。

このレースを観ると日本の高校生が目指すべきものが分かる。

日本の高校生のレベルは、世界的にも引けを取らない。

素晴らしい選手が揃っている。

このレースを走ったとして、この選手と競り合える選手は10名近くいる。

しかし・・・高校時代は強くても・・・

その先のビジョンが明確でないから、その後、大きく成長する選手が少ない。

欧米選手の成長と比べると下降線をたどる選手が多い。

中学・高校時代の記録を更新できない選手も沢山いる。

目先の勝ち負けを気にし過ぎるあまり将来への夢と希望を持てない。

中学を含めて部活の顧問は、在学中の3年間で結果を出したいから先を急ぐ。

先を急がないにしても卒業してしまえば関係ないと考えるのが普通。

目の前にいる生徒が25歳から27歳になった時に輝いている姿をイメージ出来ない。

イメージ出来ないから、将来の姿と目指す舞台を語ってあげられない。

出てくる言葉は「オリンピックに出て欲しい」という自分の願望。

現実的に何をどのように成長させれば五輪にたどり着けるのかを説明できない。

ここが一番の問題である。

日本のジュニア世代の選手が「早熟」と呼ばれて、その後、伸び悩む一番の原因。

それは、誰からも将来のビジョンを語って貰えないから。

成長過程におけるロードマップを示して貰えないから。

普通に足が速いだけでは、オリンピックなど夢のまた夢であると伝えないから。

「頑張ればオリンピックに出られるぞ!」

「おまえならメダルが獲得できる!」

「不可能なんかない!夢を持ち続けろ!」

その言葉を信じて五輪までたどり着ける選手は、極々限られた一握りの選手のみ。

数億円の宝くじに当たる方が遥かに可能性があるといっても過言ではない。

五輪に出場するには、3つの軌跡がないとたどり着けない。

ひとつめの軌跡。それは、能力ある子供として生を受けること。

ふたつめの軌跡。それは、夢を追いかける純粋な心を育むこと。

みっつめの軌跡。それは、夢を実現させてくれる人と出会うこと。

この3つの奇跡が起きた時に、世界で活躍する選手としての人生を歩める。

ふたつめまでは、軌跡を起こせても、3つめの軌跡は簡単には起きない。

奇跡は、ただジッと待っているだけでは誰の身にも起きない。

自分から奇跡が起きる環境へ飛び込まないと3つめの軌跡はない。

本当に能力を開花させてくれる人と出会うのは難しい。

スポーツ強豪校の監督?

箱根駅伝強豪校の監督?

実業団チームのコーチングスタッフ?

3つの軌跡にたどり着く道は、普通の生活の中にはない場合が多い。

3つ目の軌跡的な出会いは、目の前にいる指導者ではない場合が多い。

本当に奇跡を起こしてくれる人と出会うことが世界と戦う第一歩となる。

まずは、そこから考えてみると自分が進むべき道が見えてくる。

(参考記事)
イメージトレーニング!~女子1500mの走り方~