東京、千葉、埼玉、神奈川、兵庫、京都、大阪。

緊急事態宣言が継続されている都府県では、当然、部活動は行われていない。

それ以外の県でも未だ部活動は休止のまま。練習を行っている学校はない。

自主練習をしたくても公園やサイクリングコースには「自粛警察」が出現する。

誰にも迷惑を掛けていないのに怒鳴られ、叱責され、立ちふさがれ、走れない。

チーム練習は勿論、自主練習でさえ思うように出来ない状態が続いている。

しかし、全国の高校がすべて同じ状況かと言えば、そうではない。

実は、高校駅伝強豪校と呼ばれる学校が普通に練習をしている報告がある。

朝練習と午後練習を何の制約も受けず、毎日、当たり前のようにしている。

新型コロナの感染者が多数出ている県である。

誰に聞いても名前を知っている全国的な強豪校である。

練習をしている学校を責めたり揶揄するつもりはない。

現実問題として普通に練習をしている学校が全国には沢山あることを知って欲しい。

首都圏を中心とした陸上王国と言われる都府県ではチーム練習が出来ていない。

練習らしい練習は、皆無に等しいと言っても良い状態だ。

それなのに、地方へ行くと普通にチーム練習が行われている。

6月から全国すべての高校の休校措置が解除されて、部活動が再開されたとしよう。

3月からの3カ月間、チーム練習が出来なかった学校は、ゼロからスタートする。

過去に経験したことがないほど長期に及んでいる自主練習のみの期間。

その空白の期間を埋める為に必要なチーム作り期間は、4~6か月は必要だろう。

つまり、高校駅伝予選が始まる10月・11月にやっとチームとしての足並みが揃う。

それに比べて、毎日チーム練習をしている学校は、例年通りのチーム作りが出来る。

この差は、秋以降に大きなアドバンテージを生む。

駅伝を考えた場合、チーム力に圧倒的な差が生じる可能性がある。

チーム練習が出来ない都府県の高校とコロナに関係なく普通に練習をしている高校。

この差を埋める策を高体連や日本陸連は考えているだろうか。

インターハイ中止の決定は、高校生に大きな衝撃を与えた。

しかし、それだけにとどまらず、全国高校駅伝の開催さえ危ぶまれる現実がある。

教育的観点から言うと、今年の全国高校駅伝は、中止にせざるを得ない。

余りにも練習環境が違う。余りにもチーム力に差がある。余りにも不平等すぎる。

現実から目を逸らさずに冷静に事態を考えれば、全国高校駅伝中止は妥当な判断。

そう言わざるを得ないことが、今現在、現実に起きている。

まずは、休校措置が解除されて、普通の学校生活が再開されることを期待したい。

その上で思う存分に練習が出来る環境と力試しをする場が戻ってくることが大事。

それが数か月間続いて、やっと、全国大会規模の大会が開催出来る。

緊急事態宣言が徐々に解除されているタイミングだからこそ、やるべきことがある。

全国高校駅伝開催までのロードマップを作り、必要な段階を踏んで開催を実現する。

オトナの事情で自分達の立場を守ることを優先するのではなく子供達の為に前進する。

それが出来たら、全国高校駅伝を一年以内に開催する方法が見つかるはずだ。

決定権を持つ大人たちには、今こそ、やるべきことをしっかりとやって欲しい。

生徒達が希望に向かって前進できるロードマップを早急に構築してくれる事を願う。