「インターハイが中止に!甲子園は?!」

「夏の甲子園も中止なら3年生には悪夢?!」

「高校球児の進路にも大きな影響?!」

悲劇の高校生を演出するマスコミの報道には呆れてしまう。

それ以上に既得権益にあやかりたい高野連の対応には嫌気がさす。

今更、開催の有無を考えるまでもない。

中止の発表を先延ばししても意味がない。

結論を出すのを遅らせれば状況が好転するとでも思っているのか。

決断は早い方が良いに決まっている。そこまでして金儲けがしたいのか。

世界中の主要スポーツイベントが中止、もしくは延期となっている。

国内のスポーツイベントやプロスポーツも再開の目途は立っていない。

そんな状況の中で高野連の考えていることは分かる。

夏までにプロ野球が再開される可能性がある。

プロ野球が再開されれば国民は夏の甲子園開催を期待する。

プロ野球が再開されれば甲子園を堂々と開催できる。

そういう姑息な考えをしているから即刻決断ができない。

守りたいものがあるから中止の決定を少しでも遅らせたい。

その程度の考えしか高野連は持っていない。本当に情けない。


高校野球は、上にも下にも大きな繋がりを持っている。

下とは、少年野球・シニアなどの小中学生対象の野球チーム。

それらのチームの監督・コーチは良い選手を高校へ送る役割を果たしている。

良い選手を高校野球の名門校へ送ることでコーチ陣は様々な恩恵を受けている。

高校野球名門校は、上の舞台へ送る有望選手を獲得する為に下との繋がりを強くする。

上とは大学・社会人・プロ野球チーム。

甲子園で活躍した選手を上の舞台へと送ることで高校野球名門校の名前が売れる。

全国的な知名度を得るだけではない。

優秀な選手を送ることで大きな見返りを受けている。

物品提供は勿論、強化費と称する現金の授受まで普通に行われている。

野球は、お金が掛かるスポーツである。

設備費・用具代・ウェア代・遠征費・治療費・栄養費・勧誘費など。

学校の部活動運営費では賄いきれない出費が多い。莫大な費用が掛かる。

強いチームを維持するには、学校の予算とは別に必要なモノがある。

それを得る為に常に将来有望と思われる選手の獲得がマストな条件となっている。


下から上へと選手を送るシステムで高校野球は成り立っている。

選手を見極める場が甲子園である。

高く売れる選手かどうかを見極める場。

国民に愛されるスター性があるかどうかを見極める場。

将来、伸びしろがある選手かどうかをプロに判定してもらう場。

それが甲子園の本当の姿である。

国民を夢中にさせる感動物語の裏には選手獲得の為の大人の事情が多分に絡んでいる。


高校野球が現在のように広く国民に認知され親しまれるようになった理由。

それは、地元の小さな少年野球チームからスター選手が生れるという夢があること。

地元チームから甲子園の名門校へスカウトされた子がいるという誇りを持てること。

知り合いの子供が甲子園で活躍する姿を皆が楽しみにできるという希望があること。

そういうバックグラウンドがあって高校野球・甲子園は国民の支持を得てきた。

純粋に応援したい人がいる反面、お金に群がる輩が多いのも高校野球の特徴。

高校野球を行うことで得をするのは誰か?

メディアが注目することで利益を得るのは誰か?

甲子園を開催することでより一層の権力を得るのは誰か?

それを考えてみれば「甲子園中止」を簡単に決められない理由が分かる。

中体連、高体連、その他の競技団体の決断より高野連の判断が遅いのはおかしい。

そう口に出来る人物が高野連の中にいることを期待して決断を待ちたいと思う。