日本の実業団のようなシステムがない海外の選手達は、金儲けで来日する。

年間を通してレースで得られるお金は、家族を養うのに不可欠なものだ。

ひとつのレースが無くなっただけで大きな収入減(痛手)になる。

出場料+賞金で600~800万円とも言われる金額は生活するのに無くてはならない。

リスクがあるのを承知の上で「自分の仕事」を行う為に来日している。

しかし、そうであったとしても例年通りに来日という訳にはいかなかっただろう。

内心に大きな不安を抱えているであろうことは、本人に聞くまでもないことだ。

多くの人がご存知ないと思うが、主要マラソン大会は、密室での接触が多くある。

選手村(ホテル内)に設けられた大会事務局と選手ラウンジで選手達は時間を過ごす。

受付、交通費精算などをする際に複数の大会関係者と接触がある。

選手ラウンジでは、スナック菓子、果物、飲み物を自由に取れるし飲食もできる。

これは立食形式の飲食の場となる。不特定多数の人が自由に行き来できる。

選手村内のレストランもビュッフェスタイルだ。

そこでは、一般のホテル利用者も多数訪れる。選手・スタッフ・一般客が混在する。

レース前日には選手・コーチ・スタッフが集まりミーティングもある。

それらは、5分や10分で済むことではない。かなりの時間を使い濃厚接触がある。

給水ボトルの提出時にも、かなりの配慮が必要だ。

全国各地・海外から来た選手達が一堂に会する場である。

現状、手と手で受渡しが簡単にできる状態ではないのも安易に想像がつく。

それらについて然るべき措置が取られていると思うが100%安全という保障は無い。

多くの方が、マラソン大会は、当日走るだけだと思っているが、それは間違いである。

実は、マラソン大会ほどレース前後の濃厚接触が多い場所はない。

しかも選手村は、一般のホテル利用者も多数いる。規制はなく自由に行き来できる。

そんな野放し状態で衛生管理が徹底される状況だとは言い難い。

東京マラソンでも同様の話をしたが、何も起こらないのが当たり前。

もし、感染者が出たら、それは取り返しがつかないことである。

選手村に入ってからの動きなど内部事情を知っているだけに不安要素が見えてしまう。

油断していると大きなツケが回ってくる。しかも、予期せぬところからやってくる。

選手、スタッフ、大会関係者の導線内に外部からの接触が無い環境の確保が大事だ。

どのような措置を講じて「何も起こらない」ことを実現するのか。

どのような対応をして「選手達の不安」を解消するのか。

今日からの四日間、大会事務局の手腕が問われている。