特に体重制限をして厳しい管理下で走っているのでない。

しかし、これだけの体形を維持している。

これがアメリカナンバーワン学生女子チームのリアルな姿である。

日本の女子長距離選手は、中学で細い選手が高校では太ってしまう。

あるいは、高校では細いが大学では太ってしまう。

だから高校卒業後の伸びが無い。そういう選手は多い。

高校卒業後、世界レベルに育つ選手は1996年のアトランタ五輪辺りまではいた。

しかし、その後は年々世界レベルに育つ選手は減ってきている。

その理由は、自然体で育っていないからであると考えられる。

無理やりに痩せさせても、そのツケは、いつか必ず数倍返しでやってくる。

自然体で育つことが将来への伸びしろをつくる。

カラダをトップアスリートレベルにアップグレードするのは大学卒業後でよい。

有森裕子も高橋尚子も野口みずきも鈴木博美も志水見千子も全て良い見本である。

高校時代に燃え尽きてしまうような育ち方をしていないから将来への道が開ける。

「もう十分に頑張ったから、もうこれ以上頑張れない」

そんな風に思ってしまう指導では「心」が育たない。

 (Workout Wednesday:No.1 Ranked Arkansas Women by FloTrack)

1000mを5本+1マイル(繋ぎ3分)
1本目 3分12秒
2本目 3分12秒
3本目 3分11秒
4本目 3分10秒
5本目 3分12秒
1マイル 5分11秒

4本目が終わり3分10秒までペースが上がったところでコーチが声を掛ける。

「それ以上ペースを上げる必要はない!」

日本の指導者に多く見られるような「もっと頑張れ!」とは言わない。

「最後だから全力を出せ!」とも言わない。

選手が「足の調子がおかしい」と申し出れば無理はさせない。様子を見る。

指導者の心に余裕があるから、選手の心にも余裕が生れる。

ギュウギュウ詰めの指導では、余裕のある「心」は育たない。

一流選手の育て方。それは・・・

無理矢理に痩せさせたり、必要以上に追い込ませたりしない指導。

「もうこれ以上はできない」という心にならない指導。

「もう少しできたかも」という程度で終わる練習が「その先」へ行く意欲を育てる。

是非、日本の女子長距離チームの指導者にも「心の育て方」を学んで欲しい。