レース1ヶ月前に1週間練習を落とすこと。走らずにウォーキングすること。

まずは、これが、勝つためのポイントの第一段階となる。

これまで海外や北海道で走り込みを行ってきた選手は、今が一番疲れが出る時期だ。

脚に痛みを感じたり、カラダが重く感じている選手もいるだろう。

しかし、それは、グッドサインである。

かけっこの神様が、休みなさいと言ってくれていると思って堂々と休めばよい。

ここで1週間カラダを休めておくと、今まで上がらなかった調子が上向いてくる。

<今後の主な流れの目安>

 Race day 

 Week 5(1週間前) 10マイル快調走(レース当日の入りの感覚をつくる)

 Week 4(2週間前) 20㎞TTを入れる(内臓器官の疲労回復期間)

 Week 3(3週間前) 30㎞TTを入れる(実戦練習で脚の強さを確認)

 Week 2(4週間前) 練習再開(最終調整の方向性を決める)

 Week 1(5週間前) 1週間休む(故障回復期間)

あれもこれもやろうとせずに、最終調整の方向性をひとつに絞ることが大事。

その為には、現在の体調の見極めが必要になる。

「きっと調子は良い筈だ」

「このあと調子は上がってくるだろう」

勘に頼ってしまうと現在の体調を見誤ってしまう。勘や感覚はあてにならない。

調子が良いかどうかは、5000m×3本(レースペース走)をやってみれば分かる。

この距離ならダメージは殆どないし、3本目の走りが現在の本当の調子を示してくれる。

大事なのは、ゴール直後の身体データ。心拍数、乳酸値、酸素飽和度など。

スタート時に脚が軽く感じても、2本目、3本目のゴール後の値が悪い場合もある。

その場合、実際の調子はあまり良いとは言えない。

そのまま勘違いが続くと、レース当日に思わぬ失速をする可能性がある。

走り出しが良くても、20㎞を過ぎたあたりから脚が重くなってしまう確率が高い。

レースの勝負所が来る前に集団から離れてしまうだろう。

自覚出来ていない慢性疲労は、中途半端な休養では、1ヶ月あっても回復できない。

思い切って1週間、ウォーキングだけにしないとカラダの芯の疲れは回復しない。

逆に、3本目を終えた時の値が良ければ、レースでも後半に行けば行くほど動いてくる。

30㎞を過ぎた勝負所からグングン調子が上る可能性が高い。

自分の感覚は、あまりあてにならない。

自分の感覚と実際のカラダの状態は、ズレが生じる。

それを認識できている選手は、これからの1ヶ月の練習の組み立てを間違えることはない。

大事なのは、データによる体調管理だ。選手任せでも、指導者本位の考えでもダメだ。

冷静な見極めをしながら、ポイント練習を70%の力でこなす余裕があれば勝率は高くなる。

現在の体調を正確に把握した上で、今後の練習の組み立てを決めていくことが鍵となる。

すべては、ここからの流れ次第で決まる。

出場選手達には、是非、本番に向けて、万全な体調をつくって欲しい。