漫画の世界でしかあり得なかったことが現実のものとなる瞬間は、これまでにもあった。

・野茂英雄が、メジャーリーガーとして活躍する姿を現地の球場で見た時。
・長友佑都が、セリエAの名門・インテルに入団して活躍する姿を見た時。
・大坂なおみが、グランドスラム優勝・世界ランク1位の瞬間を見た時。

その度に目の前の現実を信じられず、何度も何度もニュースの記事を読んだものだ。こみ上げる感動とドキドキ感に酔いしれる自分を感じながら更なる物語を期待した。
(Rui Hachimura Makes History For Japan! 2019 NBA Draft by NBA)

この動画を見て驚くこと。それは、八村塁の立ち振る舞いと存在感だ。実に、地に足がついていて落ち着いている。スーパースターの風格を醸し出している。インタビューでも、言葉以上の感情を目と目で伝える姿に日本人離れしたコミュニケーション力を感じた。

我々が常に抱いていた感情。日本人NBAプレーヤーである、田臥勇太や渡邊雄太から感じる「お客さん的な雰囲気」は全く感じない。例えば、プロ野球選手やプロサッカー選手が、海外のリーグへ行った際の入団会見。あれを見て感じていたことは、やっぱり、学芸発表会のような素人さである。どんなに語学力があっても、あの違和感は、どうしても拭い去れない。しかし、八村塁は、違う。見ているこちらの気持ちが、スッキリする心地良さがある。これなら本場のアメリカでも受け入れられると思える安心感がある。

八村からは、本物のNBAプレーヤーの雰囲気しか感じない。ドラフト会場に居ても、全く違和感がない。こんな日本人は、これまで見たことがない。兎に角、すべてが本物に見える。時代は、ここまで進んだということだ。今後の活躍が楽しみでしかない。心から応援したいと思える選手に出会えたことに感謝したい。これで、また、しばらく長生きできそうだ。