ランナーズ・ジャーナル JAPAN (Runners-Journal.Jp)

事実に基づいた「真実のコラム」を掲載しています。今だからこそ伝えたい「本当のこと」をありのまま伝えたいと思います。

先日、宮崎県延岡市で開催されたGGNで13分10秒69という好記録を出した遠藤日向選手。

今シーズンは1500mでも3分36秒69を出している。今年一番勢いがある選手だと言える。

遠藤日向選手だけが飛び抜けた状態ではなく同等の記録を出す選手が複数人欲しい。

日本の男子長距離選手が目指して欲しいレベルとは下記のような記録である。

この記録は東京五輪に出場しているLuis Grijalva選手(23歳)のPRである。
   800m   1分51秒22(2021年)
 1500m   3分35秒32(2021年)
 3000m   7分37秒42(2022年・室内)
 5000m 13分10秒09(2021・東京五輪)

(Workout Wednesday: Luis Grijalva Speed Session by FloTrack)

<Luis Grijalva選手のスピード練習>
・400m×2本
 1.56秒6
 2.56秒0
・800m×2本
 1.400m57秒9   800m1分59秒6
 2.400m59秒0   800m2分04秒(アウトレーン)
・300m×2本
 1.100m15秒.  200m14秒  300m12秒7
 2.100m15秒.  200m14秒  300m12秒5 

現在の日本男子長距離選手に必要なのは800mから5000mまでマルチに走れる能力。

更に言えば全ての種目をこのレベルで走れる走力を大学卒業時までに養いたい。

中学時代から土台を作って10年かけて23~25歳でこのレベルに到達する。

そのような将来へ向けてのビジョン設定とロードマップの作成が必要。

中高部活顧問や大学指導者任せにせずに指導を一元化する工夫。

長期的な視野で選手育成を行い、23~25歳で到達させる。

そういう発想力と実行力があれば世界に追いつける。

中学チャンピオンが将来的に日本代表選手になるのは簡単ではない。

女子選手の中には数名いる。だが男子選手にとっては難しい現実がある。

「早熟」という言葉で片づけられてしまうスポーツ界の問題点がそこにある。

しかし、この選手は違った。苦労に苦労を重ねて自分を確立するために努力してきた。

その結果として世界選手権日本代表選手を掴むまで「あと一息」のところまで辿り着いた。

素質があるから中学チャンピオンになれたのではない。

天才ランナーだから、ずっと勝ち続けてきたわけではない。

思うような結果を出せない時でも夢を諦めずに追い続けてきたから。

「俺はもう勝てないのか?」と自問自答する日々を乗り越えてきたから。

「このままでは絶対に終われない!」と自分自身に鞭打って努力してきたから。

様々な不安や葛藤と戦ってきたからこそ、ようやく、ここまで辿り着けたのだと思う。

「目先の中学日本一」を掴む為に必死になっている親子に是非とも学んで欲しい姿がある。

10年後に到達したい場所が明確になれば「早熟」で終わるような取り組み方はしない。

目指すべきは今から10年後の活躍であり、10年後の自分の姿をイメージすること。

遠藤日向選手の生き様から学べることは沢山ある。今後の活躍に期待をしたい。


どんなに部活の練習がキツクても何故かリレーを行うと生徒達は元気になる。

どんな練習よりもリレーを行うと選手達は集中してモチベーションが上がる。

大会でも複数種目に出場して疲れていても最後のリレーだけは別の力が出る。

リレーには眠っている潜在能力を目覚めさせて引き出す不思議な魅力がある。

高校生による4×800mリレーで800mの自己ベストをあっさりと更新することもある。

大学生による4×1500mリレーで長年超えられなかった記録の壁を超えることもある。

(Edwin Allen JM Dominates 4×800m Championship At Penn Relays by FloTrack)


(Epic Katelyn Tuohy vs Krissy Duel in 4×1500m National Record Race by FloTrack)

中高生の男女がひとつのチームになり男女混合リレーでも良い。

都道府県対抗で中学生の部、高校生の部、一般の部を作っても良い。

中学生から実業団選手までが楽しみながら記録にチャレンジすることが大事。

日本の中距離界に皆で盛り上がれるイベントを作ることで「記録の壁」がなくなる。

ミドルディスタンス・チャレンジに加えると新たな中距離の魅力を伝えるきっかになる。

基本的にランニングは、同じ筋肉を同じようにしか使わない競技である。

「子供の頃から同じ所を故障する」

「走り込むと膝が痛くなる」

「スピード練習をすると股関節が痛くなる」

「クロカン練習をすると腰痛が悪化する」

こういうセリフを言う中高生、女子学生、実業団選手は少なくない。

殆どの場合、子供の頃から走る練習しかしていないことが原因と考えられる。

つまり同じ筋肉を同じように使うので慢性的な疲労が蓄積しているからだ。

カラダは消耗品である。本格的に走ったら10年がひとつの目安となる。

中学生で芽が出た選手は、23~25歳。

高校生で芽が出た選手は、27~29歳。

高校卒業後に芽が出た選手は、30~32歳。

同じことを同じようにやっていれば、肉体も精神も疲弊してしまう。

そうならないように走る以外の練習でカラダを鍛える習慣を身につけたい。

また、痛みはカラダが出すサインだ。

「ここの筋肉が弱いから、もっと鍛えてくれ!」

「ここは、もう十分に使っているから違う筋肉を使ってくれ!」

カラダが出すサインを正しく理解して総合的なカラダ作りをする。

それが、故障防止に繋がり、選手寿命を延ばすことにも繋がる。

だからといってスポーツジムへ通ってマシンをガシャガシャする必要はない。

スポーツジムでのマシン・ガシャガシャ運動は、殆ど役に立たない。

刺激を入れることによって「やった感」はあるが、走ることには結びつかない。

走る動作に連動していない筋トレは、いくらやっても意味がない。

それよりも、今だからできることがある。

走らなくても速くなる室内トレーニング!

カラダ全体を動かしながら筋肉の連動性を養う。

普段使っていないインナーや使いきれていない部分を鍛える。

「ここの筋肉が弱いなぁ」

「もっと、ここを使えるようになるといいなぁ」

「妥協のないカラダをつくることがスピード強化に繋がるなぁ」

そんな風に思いながらチャレンジするとカラダのキレが増す実感を得られる。

まずは、7分間、プランクチャレンジ!

(7 MIN PLANK CHALLENGE / No Equipment | Pamela Reif)

次は、チューブ(ラバーバンド)を使っての10分間、チャレンジ!

(10 MIN BOOTY ACTIVATION - to grow your glutes / optional: Resistance Band I Pamela Reif)

最後にカラダ全体の動きを滑らかにするダンス・エクササイズ!
 (15 MIN SEXY DANCE WORKOUT / burn calories & move your hips / No Equipment I Pamela Reif)

カラダを自由自在に使いこなせてこそ、本来、自分が持っている能力を発揮できる。

偏ったカラダの使い方をしていたらカラダは悲鳴を上げるばかり。

酷使してきた筋肉を休ませて、使っていなかった筋肉を使えるようにする。

今だからこそ、弱点を改善して、逆に強みにするトレーニングを取り入れてみよう!

長年に渡り、高校女子長距離界を引っ張ってきたのが近畿の強豪校。

全国高校駅伝で優勝実績のある、立命館宇治、須磨学園、大阪薫英女子。

そこに果敢にチャレンジしていく高校も多数ある。

「インターハイで決勝に行くよりも、近畿大会を勝ち抜くことの方が難しい」

そう言われてきた時代から近畿勢の強さと伝統は今も続いている。

近畿地区は、中学生のレベルが高く、毎年、数多くの全中出場者を輩出している。

中学時代に全国トップレベルの選手が、その後、伸び悩むことは珍しくない。

中学時代の実績を超えられない選手は、全国には多数いるのが現実。

しかし、近畿勢は、高校で活躍し、その後もトップレベルで活躍する選手が多い。

その土台となっているのが、近畿高校総体であることを是非、知って欲しい。

近畿高校総体では、数多くの感動ドラマが見られる。
 (近畿インターハイ 女子1500m決勝 2019.6 須磨学園 by TR MV)


(
2018年度 近畿IH 女子1500m決勝 by 01moroya)


(
2017年度 近畿IH 女子1500m決勝 by 01moroya)


(
2014近畿IH女子1500m決勝 by jeepj52)

全国屈指の強豪校同士の真剣勝負は、実に見応えがある。

先輩から受け継がれている伝統校のプライドを懸けて堂々と走る姿は美しい。

最後の最後まで一歩も引かない意地と意地のぶつかり合いには心打たれる。

校名を背負って走る責任感。

絶対に負けたくないという闘志。

それが、近畿高校総体の価値を高めている。

他の地域とは、歴史が違うと言わんばかりの圧倒的な雰囲気がある。

これから先も近畿高校総体は、伝統とプライドを懸けた戦いが続いて行くだろう。

マラソンであれ、トラック種目であれ、メダリストが欲しい日本女子長距離界。

その先陣を切るのが近畿高校総体を経験した選手である可能性は高い。

世界で戦える選手。メダル争いが出来る選手。国民に感動を与えられる選手。

そういう選手が、ここから生まれることを今後もずっと注目し期待している。

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