ランナーズ・ジャーナル JAPAN (Runners-Journal.Jp)

事実に基づいた「真実のコラム」を掲載しています。今だからこそ伝えたい「本当のこと」をありのまま伝えたいと思います。

1㎞の平均ペースを見れば、誰がどんな走りをしていたかが分かる。

1㎞の平均ペースを見れば、選手それぞれの実力が可視化できる。

<シニア男子10㎞結果>※TOP8
  <記録>              <1㎞平均>
  1.29:10 三浦龍二          2分55秒00
     (順天堂大学)
  2.29:10 松枝博輝          2分55秒00
     (富士通)
  3.29:16 今井篤弥          2分55秒56
     (トヨタ自動車九州)
  4.29:17 田村和希          2分55秒70
     (住友電工)
  5.29:18 鈴木塁人          2分55秒80
     (SGホールディングス)
  6.29:20 田村友佑          2分56秒00
     (黒崎播磨)
  7.29:21 藤本珠輝          2分56秒10
     (日本体育大学)
  8.29:24 川瀬翔矢          2分56秒40
     (皇學館大学)

<U20男子8㎞結果>※TOP8
  1.23:19 佐藤圭汰          2分54秒875
     (洛南高校)
  2.23:47 太田蒼生          2分58秒375
     (大牟田高校)
  3.23:54 南坂柚汰          2分59秒250
     (倉敷高校)
  4.23:59 田中悠登          2分59秒875
     (敦賀気比高校)
  5.24:03 山﨑皓太          3分00秒375
     (洛南高校)
  6.24:04 山本歩夢          3分00秒500
     (自由ヶ丘高校)
  7.24:07 若林宏樹          3分00秒875
     (洛南高校)
  8.24:07 堀田晟礼          3分00秒875
     (千原台高校)

<シニア女子8㎞結果>※TOP8
  1.25:54 萩谷 楓          3分14秒250
     (エディオン)
  2.26:20 酒井美玖          3分17秒500
     (北九州市立高校)
  3.26:21 和田有菜          3分17秒625
     (名城大学)
  4.26:22 田中希実          3分17秒750
     (豊田自動織機TC)
  5.26:35 川口桃佳          3分19秒375
     (豊田自動織機)
  6.26:58 鷲見梓沙          3分22秒250
     (ユニバーサルエンターテインメント)
  7.27:11 山ノ内みなみ        3分23秒875
     (京セラ)
  8.27:16 阿部有香里         3分24秒500
     (しまむら)

<U20女子6㎞結果>※TOP8
  1.19:49 不破聖衣来         3分18秒166
     (健大高崎高校)
  2.20:14 三原 梓          3分22秒333
     (立命館宇治高校)
  3.20:19 小坂井智絵         3分23秒166
     (成田高校)
  4.20:27 小川陽香          3分24秒500
     (順天高校)
  5.20:27 並木美乃          3分24秒500
     (常盤高校)
  6.20:29 永長里緒          3分24秒833
     (筑紫女学園高校)
  7.20:36 野田真理那         3分26秒000
     (北九州市立高校)
  8.20:40 土井葉月          3分26秒666
     (須磨学園高校)


<解説>
男子のベストラップは、なんとU20で優勝した佐藤圭汰選手(洛南)の2分54秒875。シニア10㎞で優勝した三浦龍二選手の2分55秒000よりも速いラップを刻んでいる。距離が違うと言っても高校生とシニア選手の力の差を考えれば、佐藤選手の走りが如何に素晴らしかったかが良く分かる。洛南高校の先輩後輩である三浦選手と佐藤選手。今後の成長が楽しみだ。

女子のベストラップは、シニア8㎞優勝の萩谷楓選手の3分14秒250。注目して欲しいのは、萩谷選手に次いで2位でゴールした高校生の酒井美玖選手(北九州市立)のラップ。酒井選手の3分17秒500は、U20で優勝した不破聖衣来選手の3分18秒166を上回るペースだった。中学時代には、圧倒的な走力で他の選手を大きく引き離し負けなしだった不破選手。U20で優勝したことで「高校生としてのラストレースで高校日本一を獲得した」と記事になっていた。しかし、実際には酒井選手には勝てていない。酒井選手は8㎞を走っての記録であることからも高校ナンバーワンの座は、文句なしに酒井選手にあると言える。それでも、酒井選手には勝てなかったにしても不破選手が強いのは事実。もし不破選手がシニア8㎞を走っていたとしても間違いなく上位に入っていただろう。若い二選手の今後の成長に期待をしたい。

全中陸上でもジュニアオリンピックでもインターハイでも共通して言えること。

綺麗で美しい走りをする選手が、将来的に日本のトップレベルで活躍する。

バラバラなフォームで力任せに走っている選手は、その後消えていく。

カラダのどこかに無理があるような力任せな走りでは故障するだけ。

小中学生時は通用しても高校生になってからは通用しなくなる。

高校・大学で通用しても実業団選手としては通用しなくなる。

イチ教員でしかない部活の顧問では、将来を考えて細かく指導することは出来ない。

見たままで「速い遅い」を判断するような指導では細部まで行き届いた指導は出来ない。

何をどう鍛えれば、どこがどのように変化して、走りがどう変わり、どんな記録が出るか。

理屈では分かっていても適切な言葉を使って的確にアドバイス出来なければ意味がない。

綺麗に走らせることは難しい。美しく走らせることは高い技術が必要。その意識が大事。

日本選手権クロカンでシニア10㎞を制した三浦龍二選手の走りは美しい。

無駄な動き、余計な力み、カラダのブレ、顔の歪みが一切ない。

それは、びわ湖毎日マラソンを制した鈴木健吾選手も同じ。

見ていて気持ちが良いほど走りが綺麗で美しい。

苦しそうに見えないのは大事な要素だ。

2度目のマラソンで2時間6分台を出した土方英和選手の走りも綺麗にまとまっていた。

これは、今後の男子マラソン界が更に大きな飛躍を遂げる為の大事な要素となる。

かつて「理想的なフォーム」と言われたのは瀬古利彦プロジェクトリーダー。

日本人特有の胴長短足。上半身をピンと反らせて胸を張って走る。

それが長距離走の教科書としてマネするように教えられた。

今の選手達は、瀬古氏と比べスタイルが圧倒的に違う。

どの選手も「顔が小さく、胴短で足が長い」。

体型が変われば理想の走り方も変わる。

鈴木健吾選手の走りが現代の理想形。

そう言っても過言ではないだろう。

今の小中学生は、見た目のカッコ良さから大迫選手の走り方をマネする傾向がある。

厚底シューズを履いたら大迫選手のようにカッコ良く走れると勘違いをしている。

つま先着地を過剰に意識して、必要以上に大きなストライドで走る選手が多い。

大迫選手のような「強い脚力」がないのにマネするから故障する選手も多い。

真似すべき選手は、びわ湖毎日マラソンで快走した鈴木選手と土方選手。

ああいう走りが出来てこそ次のステップとして大迫選手の走りがある。

土台を作っていないのに大迫選手の走りをマネしても結果は出ない。

高性能の厚底シューズを履いても必要なのは強い脚筋力である。

中高生は、それを心に刻んでトレーニングに励んで欲しい。

今回、鈴木健吾選手が出した驚異的な日本新記録は、新しい教科書となる。

「好記録を出すには、こういう思考とペース配分が必要だよ」

「後半スタミナを維持する走り方は、こういう走り方だよ」

「練習の成果を出すには、こういう取組みが理想的だよ」

「レースで結果を出すには何よりも脚力が大切だよ」

「日本人でも世界で勝負できる記録が出るよ」

「本来、マラソンは、こうあるべきだよ」

そう教えてくれた鈴木健吾選手の走りであった。

この一歩は、日本の長距離界にとって大きな一歩となる。

今回のレースで学べることはしっかり学んで更なる飛躍に期待をしたい。

誰も予想していなかった2時間4分台の日本新記録誕生。

女子会気分でお祭り騒ぎのような実況中継ではないからこその日本記録更新。

チャラチャラしたマラソン中継ではなく堅実で落ち着きのある実況が心地良かった。

<2021びわ湖毎日マラソン結果>
  1.2:04.56 鈴木健吾   (富士通)
  2.2:06.26 土方英和   (Honda) 
  3.2:06.35 細谷恭平   (黒崎播磨)
  4.2:06.47 井上大仁   (三菱重工)
  5.2:06.51 小椋裕介   (ヤクルト)
  6.2:07.12 大六野秀畝  (旭化成)
  7.2:07.18 S.カリウキ  (戸上電機製作所)
  8.2:07.20 菊地賢人   (コニカミノルタ)
  9.2:07.26 聞谷賢人   (トヨタ紡織)
10.2:07.27 川内優輝   (あいおいニッセイ同和損保)

<解説>
堅実なレースだった。確信が持てる走りだった。「歴史に残る日本新記録が誕生する瞬間というのは、こうでなくちゃいけない!」と思える緊張感に溢れたマラソン中継だった。

天候に恵まれたのが最大の要因。風が無く、暑さも寒さもない。これほどの好条件下で走れた選手達は本当にラッキーだった。力のある選手すべてが好記録を出した訳ではない。期待されたが後半に大きく失速した選手も少なくなかった。今現在もコロナ禍にあり、どの選手も完璧な準備が出来た訳ではないはずだ。そんな中でもきちんと仕上げてきた選手が絶好の気象条件を味方につけて好記録を出した。すべては「奇跡の好条件」が生み出したと言って良い。最後のびわ湖毎日マラソンは、日本のマラソン史に残る最高のレースとなった。

好記録が出たもうひとつの要因には「走りの美しさ」がある。レース後半、特に30㎞を過ぎてから1位の鈴木健吾選手と2位の土方英和選手の走りは際立っていた。腕振りも足の運びもコンパクトで動きに無駄がない。レースを観ている視聴者が「このペースで大丈夫かなぁ…」とハラハラ・ドキドキしてしまうような不安要素のある走りではなかった。この前の大阪国際女子マラソンのように盛り上げるだけ盛り上げて、結局は期待された記録が出ずにガッカリさせられるのではないかという心配な気持ちになることもなかった。鈴木健吾選手の走りは、兎に角、美しかった。これこそが「日本人に最も適した理想的な走り」と言って良いほど綺麗な走りだった。日本記録を作った大迫選手と設楽選手の走りは、ダイナミックで勢いを感じる一方で「失速した時にフォームが崩れやすい」という脆さもある。しかし、鈴木健吾選手の走りは、派手さはなく地味だが見ていて”美しい”。レース終盤でも変わらず軽快なピッチを刻み続ける走りには余計な力みがなく、極めてエネルギーロスの少ない超省エネ走法。30㎞以降、1㎞過ぎる毎に「力強さ」と「美しさ」が増していった。最後まで「美しさ」を保ったまま「2時間4分56秒」でゴールに飛び込んだ姿に我々は魅了された。

鈴木健吾選手が所属している富士通でコーチを務める高橋健一氏は、「弾丸ランナー」として知られた選手。2000年には当時のハーフマラソン日本記録を樹立している。2001年東京国際マラソンでは、35㎞まで当時の日本記録を上回るハイペースで突っ走るなど積極果敢に攻める走りが特徴のトップランナーであった。今から20年前に1㎞3分を切るペースで走れる選手は多くなかったが高橋健一氏は「2時間6分を切るのではないか!」と日本中を沸かせてくれた素晴らしいランナーだった。20年前に自分が出来なかったことを教え子でありチームの後輩でもある鈴木健吾選手がやってのけたのは偶然ではなく運命だと言って良いだろう。

日本人初の2時間4分台に沸いたびわ湖毎日マラソン。日本人初の2時間4分台が出たコースとして我々の記憶に残るだろう。様々なドラマを作ってきたびわ湖毎日マラソンが幕を閉じるのは、一抹の寂しさを感じざるを得ない。多くの感動を我々に与えてくれた功績はひと言では語れない。今日と言う日が、日本男子マラソンの歴史が大きく変わった日として後世まで語り継がれることを期待する。大会運営に携わった関係者の皆様へ感謝の言葉を述べたい。「沢山の感動を与えてくれてありがとう。我々はびわ湖毎日マラソンを永遠に忘れない」。

<シニア男子10㎞結果>※TOP8
  1.29:10 三浦龍二   (順天堂大学)
  2.29:10 松枝博輝   (富士通)
  3.29:16 今井篤弥   (トヨタ自動車九州)
  4.29:17 田村和希   (住友電工)
  5.29:18 鈴木塁人   (SGホールディングス)
  6.29:20 田村友佑   (黒崎播磨)
  7.29:21 藤本珠輝   (日本体育大学)
  8.29:24 川瀬翔矢   (皇學館大学)

<シニア女子8㎞結果>※TOP8
  1.25:54 萩谷 楓   (エディオン)
  2.26:20 酒井美玖   (北九州市立高校)
  3.26:21 和田有菜   (名城大学)
  4.26:22 田中希実   (豊田自動織機TC)
  5.26:35 川口桃佳   (豊田自動織機)
  6.26:58 鷲見梓沙   (ユニバーサルエンターテインメント)
  7.27:11 山ノ内みなみ (京セラ)
  8.27:16 阿部有香里  (しまむら)

<U20男子8㎞結果>※TOP8
  1.23:19 佐藤圭汰   (洛南高校)
  2.23:47 太田蒼生   (大牟田高校)
  3.23:54 南坂柚汰   (倉敷高校)
  4.23:59 田中悠登   (敦賀気比高校)
  5.24:03 山﨑皓太   (洛南高校)
  6.24:04 山本歩夢   (自由ヶ丘高校)
  7.24:07 若林宏樹   (洛南高校)
  8.24:07 堀田晟礼   (千原台高校)

<U20女子6㎞結果>※TOP8
  1.19:49 不破聖衣来  (健大高崎高校)
  2.20:14 三原 梓   (立命館宇治高校)
  3.20:19 小坂井智絵  (成田高校)
  4.20:27 小川陽香   (順天高校)
  5.20:27 並木美乃   (常盤高校)
  6.20:29 永長里緒   (筑紫女学園高校)
  7.20:36 野田真理那  (北九州市立高校)
  8.20:40 土井葉月   (須磨学園高校)

小学生で好記録を出す選手を見ると必ず言われるセリフがある。

「どうせ伸びなくなる」

「すぐに潰れてしまう」

「他の子より早熟なだけ」

中学生で高校生や大学生に勝つくらい速い選手を見ると必ず言われるセリフがある。

「中学時代に頑張り過ぎると、その反動が高校生になって出る」

「中学時代に活躍すると達成感に満足してしまい意欲が出なくなる」

「中学時代に実績を作ると余計なプライドが邪魔して言い訳が多くなる」

「中学時代に勝ち続けると負けるのが嫌で自分が勝つレースしか走らなくなる」

「やがて頑張る意欲が湧かなくなりやる気を失って競技生活に価値を見出せずに辞める」

確かにそういう面は、少なからずある。

本人の意欲喪失が伸び悩みの原因と言われても仕方ない面も多分にある。

しかし、だからと言って早熟だったで済ませてよい理由にはならない。

成長過程で本人の意欲が低下してしまう前に打つべき手があったはずだ。

多くの場合、指導者や家族の無頓着で怠慢な接し方が意欲の低下を引き起こしている。

子供の周囲にいる大人の声掛けが間違っているから子供は目標を見失う。

大人は活躍する子供の姿を見ているだけで肝心なことを忘れている。

将来のビジョン設定が不明確だから子供は目標を見失ってしまう。

「オリンピックを目指す」
「箱根駅伝を目指す」
「IH出場を目指す」
「全中を目指す」

これらは一見、目標を持っているように聞こえるが実際には不明確な目標設定。

夢物語を語っているだけ。憧れているだけ。夢を見ているだけ。

大人は、指を咥えて子供の姿を見ているだけで何もしようとしない。

「オリンピックに出たい!」と言っている子供を見るのが好きなだけ。

「箱根駅伝に出たい!」と言っている子供を見て優越感に浸りたいだけ。

「自分も一緒に頑張っている!」と夢を分かち合い、共感したいだけ。

小中学生で能力を開花させた選手に対する大人の目は意外に冷たい。

ちやほやしてくれるのは活躍している数年間だけと言ってよい。

勝てなくなると波が引くようにサーーーっと居なくなる。

そして口々に「あの子は早熟だったから仕方ないよね」と呟く。

早熟だったという言葉を使い、伸びなくなるのが当たり前にように言う。

しかし、早熟だから伸びなかったというのは都合の良い言い訳でしかない。

将来のビジョン設定が明確であれば早熟で終わる選手にはならない。

段階的な取り組みの目安となる最終目標までのロードマップを描く力。

成長過程で必要だと思われるトレーニングと目標を具体的に作成する力。

より具体的に作成した目標達成計画に従って着実に前進する決断力と実行力。

当初の計画通りに進まなくなった場合のバックアッププランを作成する修正力。

それらの力を持たないまま、「ただ闇雲に夢を追い求める」から挫折する。

小中学生で開花した能力を10年間持ち続けるのは難しい。

そこから更に成長させて現実的な目標達成へ向かう道のりは更に難しい。

「自分が見ていた時は活躍した。その後は伸びなくなった」という無責任な指導者。

「子供の時から特に何もしていない。何もしなくても活躍した」という無頓着な親。

そういう大人が近くに居るから成長過程で必要な適応力が無い子供に育ってしまう。

そうならないように周囲の大人が「考える力」を養うことが早熟で終わる選手を減らす。

幼少期からのビジョン設定がある子供は成長過程での伸び悩みが少ない。

例え、伸び悩む時期があっても「考える力」を使って軌道修正して前進できる。

成長段階毎に新しいロードマップを描けるから目標達成への取り組みに迷いがない。

短期的な伸び悩みや挫折を受け入れる「心の準備」があることで精神的に安定する。

最終的に目標を達成して自己実現できるのは「考える力」を養っている選手である。

「考える力」を養うには、子供以上に周囲の大人が「考える力」を養う必要がある。

意欲の低下は「心が躍るほど熱く語れる夢」があれば防ぐことができる。

心が躍るほどの夢を与えるのは、どんな時でも周囲の大人の役目である。

周囲の大人に「熱く夢を語れる人間力」があれば子供の意欲の低下は防げる。

早熟だったで終わらせない取り組みは、選手本人ではなく周囲の大人が担う責任。

それを自覚して自らを高める努力を大人が率先して行うことが子供の成長に役立つ。

今、目の前にいる類稀な才能を持った子供に対して出来ることを大人が考えて欲しい。

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